サラリーマンの道具として必須なのが革靴です。
革靴には様々な製法があって、履き心地や耐久性が大きく変わってきます。また、革靴のデザインもいろいろあって、知っておいたほうがよいマナーがあります。
たかが革靴とされど革靴です。サラリーマンが、押さえておきたい革靴の作りやデザインなどを解説します。
押さえておきたい革の種類
- 銀付き革
- ガラスレザー
- 撥水レザー
革靴の「革」といっても様々な種類がありますが、仕事で履く革靴を考えると、とりあえずこの3つを押さえておきましょう。
銀付き革
いわゆる本革と呼ばれているものです。原皮本来の風合いをそのまま活かして表面とした革なので、靴クリームなどでお手入れをしながら履き込んでいけば、革特有のエイジングが楽しめます。
原皮は自然の産物ですので、キズや虫さされ痕などが付いている場合がありますが、銀付き革はなるべくそういうのがない部分(上質な皮)が使われるので値段も比較的高価になります。
ガラスレザー
ガラスレザーは、「ガラス張り革」とも呼ばれ、原皮を平らなガラス板に貼り付けて乾燥させ、顔料系の塗料や合成樹脂を使って表面を均一に仕上げた革です。原皮の表面に残っているキズや虫さされ痕を消すことができるので、安い皮で安定的に供給することが可能になります。
水や汚れに強くお手入れが簡単です。
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撥水レザー
撥水レザーは、原皮を加工する段階でフッ素を配合することにより、水を弾く撥水効果のある革です。ガラスレザーのように革の表面を樹脂加工しているわけではないので、普通の革靴のような見た目で自然なエイジングが楽しめます。
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押さえておきたい革靴の製法
※下の絵は革靴の断面です。Wordの図形を加工して描いたものですが、分かりづらかったらすみません。
グッドイヤーウェルテッド製法
アッパー(甲革)とインソール(中敷き)をウェルトにぬい縫い付けて(つまみ縫い)、そのウェルトとアウトソール(靴底)を縫い合わせることで完成させる製法です。
アウトソール(靴底)がすり減っても、ウェルトやアッパーが問題なければ何度も交換することができます。
また、コルクやスポンジなどの中物をインソールとアウトソールの間に入れるので、クッション性が高いほか、履いているうちに持ち主の足型に沈んでいき、馴染んでいきます。
大まかな見分け方として、靴を真上から見てとコバに縫い目があり、真下(ソール)から見てもコバからの縫い目があればグッドイヤーウェルテッド製法です。
マッケイ製法
アッパーとインソールとアウトソールを靴の中で縫い合わせ完成させる製法です。内側で縫い付ける製法なので、デザイン上の制約が少ないほか、柔らかく返りがよい履き心地になります。
インソールとアウトソールのすき間が狭いので、中物は薄いか、入れない靴もあり、グッドイヤーウェルテッド製法よりクッション性がない場合が多いです。
また、アッパーとインソールとアウトソールを直接縫い合わせるので、グッドイヤーウェルテッド製法より耐久性はありません。アウトソールの交換も数回ほどしかできないです。
大まかな見分け方としては、靴の中を見るとインソールに縫い糸があり、ソールにも縫い目が見えるとマッケイ製法になります。
セメンテッド製法
アッパーとライニングとアウトソールを接着剤で張り付け(圧着して)完成させる製法です。
接着剤でくっつけるだけなので、構造が簡単で機械での大量生産が可能なため、量販店等で販売される安い靴のほとんどがこの製法です。接着剤の溶剤のニオイが結構します。
接着剤で圧着するので、アウトソールの交換はできません。履きつぶし専用です。
コバにも、インソールにも、ソールにも縫い目がなければ、セメンテッド製法ということになります。
ただ、実際はセメンテッド製法でも、縫い目のような飾り「飾り縫い」がある場合もあります。
革靴のデザイン
革靴のデザインには様々なものがありますが、仕事での普段履きは大丈夫でも、少しかしこまった場面などでははちょっと…というものもありますので、代表的なデザインを押さえておきましょう。
まず、革靴のデザインには、靴紐を通す羽根の部分の違いで大きく分けて「内羽根式」と「外羽根式」のものがあります。
内羽根式
内羽根式とは、紐を通す羽根の部分が甲の下(甲革とフラットな状態)にあるデザインです。羽根の部分が全開にならないので調整が難しい部分もありますが、見た目がスッキリしているので、フォーマルでかしこまった場面で間違いがありません。
外羽根式
外羽根式は、紐を通す羽根の部分が甲の上に乗っかっている状態にあるデザインです。羽根が全開するので、脱ぎ履きが比較的簡単にできるほか、履いたときのフィット感の調節もしやすいです。一日中あるき回るような活動的な場に向いています。
内羽根、外羽根の中で次のようなデザインがあります。
ストレートチップ
つま先に一文字状のシンプルなステッチングがあるのがストレートチップです。黒色が基本ですが、この靴であればビジネスはもちろん、冠婚葬祭などのフォーマルな場面で履いても全く問題ありません。
プレーントゥ
プレーントゥは、つま先などに縫い目や飾りなどがないシンプルなデザインです。そのため、汎用性が高く、黒色であれば、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でもオールラウンドに使用できます。
Uチップ
Uチップは、甲からつま先にかけてモカシン縫いというステッチがU字状に施されているデザインです。
ビジネスの場面でも違和感はないですが、本来は、カジュアルな場面で履かれる靴ですので、フォーマルな場面ではあまり使用しない方が無難です(おしゃれでかっこいいですけどね)。
ドラマで半沢直樹もスコッチグレインのUチップを履いてました。
ダブルモンクストラップ
モンクストラップは、履き口を靴紐ではなくバックルでとめるタイプで、ダブルモンクストラップはバックルが2個付いたデザインのものです。
ヨーロッパのアルプス地域にいた修道士が履いていたものが原型でこの名前が付いたそうです。甲のまわりを面で押さえる構造なので甲が低めの方でも快適に履くことができます。ビジネスの場面では問題ないですが、靴紐がないのでフォーマルな場面では控えたほうが良さそうです。
コインローファー
ローファーは、「怠け者」という意味で、靴紐を結ばずに脱ぎ履きできるデザインです。コインローファーは甲のサドル部分に切れ込みがあり、昔、アメリカの大学生の間で1セント硬貨を埋めて履くのが流行したため、そのような名前がついたそうです。
ローファーは、完全にカジュアルシューズです。ビジネスでもスーツには履かないほうが無難です。仕事で履く場合は、ジャケパンスタイルのときにのみ履くようにしましょう。
サラリーマンが押さえておきたい革靴のこと|まとめ
革靴の製法やデザインには、ほかにも様々ありますが、ひとまず今回ご紹介したものを押さえておけば十分ではないかと思います。
革靴の製法は、その後のお手入れや修理など、ビジネスの相棒として末永く履いていくために必要な知識です。
それに、革靴のデザインは、履く場面によって気をつけなければならないこともありますので、知らずに履いて恥ずかしい思いをしないようしておきたいです。
せっかくビジネスの相棒として購入する革靴ですので、基本的なところは押さえた上で購入するようにしましょう。
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