【考察】シューキーパーを入れるタイミング問題…変形防止と湿気除去どっちを優先?

【考察】シューキーパーを入れるタイミング問題…変形防止と湿気除去どっちを優先?

革靴の形状を保ち、履きジワからの反り返りを防ぐためのシューケア用品であるシューキーパー(シューツリー)。革靴の変形を防ぐため必ず持っておきたい靴用のケア用品です。

革靴の必需品であるシューキーパーですが、靴に入れるタイミングは、

  • 靴を脱いだらすぐ入れる派
  • 靴の中の湿気を取ってから入れる派

主に2つの意見があり、専門家の間でも分かれています。

革靴の専門家の中でも意見が分かれるシューキーパーを使うタイミング問題ですが、毎日、仕事で革靴を履いているサラリーマンの立場から実際どうすればよいのか考察してみました

少しマニアックな話かもしれませんが、参考にしていただければと思います。

【この記事を書いた人】

みたらしとーさん
みたらしとーさん

革靴歴約25年のサラリーマンが解説します。

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シューキーパー(シューツリー)の役割

シューキーパー(シューツリー)

人間は一日靴を履くとコップ1杯分の汗をかくといわれています。

その汗が蒸発する際、革の乾燥から履きジワの部分がだんだん反り返ってきます。

何もせずそのままにしているとどんどん反り返りが大きくなって、ひび割れを起こしたりする場合も

それに反り返った靴は普通に見た目もカッコ悪いですよね。

シューキーパーは、革靴を購入したときに必ず揃えたいシューケア用品の1つです。

ちょっと補足
シダーやブナ、ライムなどの木材を使ったシューキーパーは、「シューツリー」ともいいます。

【あわせて読みたい】

シューキーパーの選び方やおすすめを解説した記事です。

≫【迷ったらコレ!】おすすめのシューキーパー(シューツリー)17選

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シューキーパーを入れるタイミング(専門家の意見など)

シューキーパー(シューツリー)

シューキーパー(シューツリー)を靴に入れるタイミングについて、「靴を脱いだらすぐ入れる派」「靴の中の湿気を取ってから入れる派」それぞれの考え方や理由をみてみたいと思います。

脱いですぐ入れる派の意見

日高 竜介 氏(日本を代表する靴店「WFG」のマーチャンダイザー)

「ツリー装着は帰宅後の儀式。革がもっとも変形するのは汗が蒸発するときであり、それを防ぐためです。」

日高竜介氏 談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』46頁(世界文化社,2017.6)

くすみ 氏(革靴ジャーナリスト)

要するに、何を優先するのかという話ですね。…(中略)…個人的には帰宅後、すぐにシューツリーを入れて形を保つという方法をおすすめしています。

くすみ氏のブログ「革靴ジャーナル.」(シューキーパーの使い方や入れるタイミングを徹底解説!)

脱いですぐ入れる派の意見をまとめると

  • 革が一番変形するのは汗が蒸発するときなので、乾燥が始まる前にすぐ入れるべき
  • 湿気に対して神経質になる必要はない
  • 後から入れようと思っても忘れてしまうおそれがある

脱いですぐ入れる派は、主に靴の変形を防ぐことを優先しています。

湿気を取ってから入れる派の意見

飯野 高広 氏(服飾ジャーナリスト)

アッパーの形状を保持し、アウトソールの不必要な反り上がりをもとに戻すのがシューキーパーの役割です。…(中略)…帰宅した後は、あえてシューキーパーを入れず靴の中の湿気を自然放出させる。

飯野高広 著『紳士靴を嗜む』164頁 (朝日新聞出版,2010.6)

松室 真一郎 氏(マエストロ代表 ビスポークシューシャイナー)

ツリーは翌朝、ある程度汗が蒸発した段階で入れます。そもそも洗濯物は風に当てて乾かしますよね。木じゃ乾きません。

松室真一郎氏談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』19頁 (世界文社,2017.6)

長谷川 裕也 氏(ブリフトアッシュ代表 靴磨き職人)

靴の型崩れや履きじわを防ぐのにはもちろん、靴磨きの際にも必ず使いたいのがシューツリー。…(中略)…1日履いた靴は、ひと晩乾燥させてからシューツリーを入れて保管する。

長谷川裕也 著『続・靴磨きの本』32頁(亜紀書房,2020.10)

丸谷 誠 氏(ボールワークス代表)

脱いだ靴にすぐ入れるのはやっぱりダメです。そもそもボクはシューキーパーに除湿や脱臭を全く期待していない。

丸谷誠氏談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』32頁 (世界文社,2017.6)

湿気を取ってから入れる派の意見をまとめると

  • シューキーパーをすぐ入れると湿気を閉じ込めてしまう
  • 木では湿気を吸収できない

湿気を取ってから入れる派は、湿気を取り除くことを優先しています。

一般の方の意見

thyme(たいむ)さんがツイッターでアンケートを取ってブログで紹介されていましたので、その結果を引用させていただきます。

1位 帰ってきたらすぐ入れる 49.6%
2位 数時間あけて入れる 33%
3位 1日以上あけて入れる 12.6%

thyme(たいむ)さんのブログ「革靴は男の顔である」(【革靴】シューツリーはいつ入れるべきか?【おすすめも紹介】)

多数派である「すぐ入れる」理由としては、「変なシワがつくのを避けたいから」「忘れないうちに入れておきたいから」ということでした。

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専門家の意見を踏まえて考察(私はすぐ入れる派に一票)

専門家の意見としては(今回紹介した方以外の意見も含め)、「湿気を取ってから入れる」という方が多い印象です。一方で一般の方は「すぐ入れる」方が多いようです。

ここまできて身も蓋もないですが、どちらが正しい、正しくないということはなく、何を優先するかが問題だと思います。

【何を優先するか】

脱いだらすぐ入れる派
湿気を取ってから入れる派
  • とにかく靴の変形を防止したい!
  • 湿気はそこまで気にしなくてOK
  • 湿気は革靴の大敵!
  • 靴の変形防止は湿気を取ってからでOK

基本的には「脱いだらすぐ入れる」をおすすめします

普段から3足程度をローテーションしているサラリーマンとしては、まずは脱いだらすぐ入れることをおすすめしたいです。

理由としては、

結局、入れるのを忘れるから!

これにつきます……。

履いた靴にシューキーパーを「入れない」ということが一番ダメなので、あとから入れようと思って結局入れ忘れるぐらいなら、「脱いだらすぐ入れる」を習慣化するのが一番です。

ただし、使い分けも必要

基本的には、「脱いだらすぐ入れる」ことをおすすめしますが、それが絶対ではなく「靴の湿気の状況によって使い分ける」ことも必要です。

まず、真夏に1日中動き回ったりすると、コップ1杯では済まないほど汗をかく場合があります。

それにアッパー(甲革)がガラスレザーだったり、ライニング(靴の内側)が布だったりすると汗などが外に抜けにくいため、湿気が残りやすいです。

リーガル811RBBPのライニング
この靴は奥半分が布になっています

汗が多く出た場合や湿気を放出しにくい靴の場合、翌日もまだ湿気が残っています↓

汗で濡れたシューキーパー-jpg
少し分かりづらいですが、次の日もシューキーパーの先が濡れています

私はこのような場合、履き終わりにシューキーパーではなく珪藻土(けいそうど)などの「靴用の湿気吸収剤」を入れ、翌日にシューキーパーを入れるようにしています。

珪藻土の湿気吸収剤-jpg
珪藻土の消臭乾燥剤をいれた靴-jpg
汗が多い日などは靴の湿気吸収用の珪藻土(けいそうど)を入れます
脱いだらすぐ入れる場合
湿気と取ってから入れる場合
  • 通常時(銀付き革やレザーライニングの革靴を履いたとき)
  • 真夏日などいつもより汗を多くかいた場合
  • ガラスレザーや布ライニングなど、湿気が外に出にくい靴を履いたとき
  • 雨などで濡れてしまったとき

基本的には脱いだら入れるで大丈夫ですが、靴の状況により臨機に対応することも大事です。

珪藻土(けいそうど)などの靴の湿気吸収剤は、カビ防止やニオイ対策にもなるのでオススメですよ↓

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おすすめのシューキーパー(シューツリー)

おすすめのシューキーパーを解説します。

迷ったらダブルチューブ式

シューキーパーは、いろいろ種類がありますが、普通の革靴で特にこだわりがなければ、木製の「ダブルチューブ式」でつま先の形状が「サイドスプリット」のものを選んでおけば間違いないです。

ダブルチューブは2本の金属チューブで安定していて、均等にテンションをかけられます。

ダブルチューブ式シューキーパー-jpg
ダブルチューブ式

ローファーにはシングルチューブ式

ローファーのように靴ひもでフィッテイングを調整できない(サイズ感を変えたくない)タイプの靴には、シングルチューブがおすすめです。

シングルチューブタイプは、つま先のパーツがコンパクトなので履き口が広く甲部分の革面積が少ないローファーに最適といえます。

シングルチューブ式シューキーパー-jpg
シングルチューブ式
シングルチューブ式シューキーパー-jpg
ローファーにはシングルチューブがおすすめ

どちらも、木製(シダー製など)だと、湿気を吸収してくれるのでおすすめです。

【あわせて読みたい】

>>【迷ったらコレ!】おすすめのシューキーパー(シューツリー)17選|定番からスニーカー用まで

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シューキーパーはいつ入れるべき?|まとめ

シューキーパーを入れるタイミングについて、専門家の意見は「湿気を取ってから入れる」という意見の方が多い印象です。

私の考えとしては、シューキーパーの入れ忘れ防止のため、脱いだらすぐ入れることを習慣化しておき、汗の量や靴の素材などの状況によって、臨機応変に対応すればよいと考えます(いわゆる折衷(せっちゅう)案です)。

タイミングはどちらにしろ、履いた靴にはシューキーパーを必ず入れるようにしましょう。

せっかく購入した革靴ですので、効果的にシューキーパーを使って末永く履いていきたいですね。

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