革靴の形状を保ち、履きジワからの反り返りを防ぐためのシューケア用品であるシューキーパー(シューツリー)。革靴の変形を防ぐため必ず持っておきたい靴用のケア用品です。
革靴の必需品であるシューキーパーですが、靴に入れるタイミングは、
- 靴を脱いだらすぐ入れる派
- 靴の中の湿気を取ってから入れる派
主に2つの意見があり、専門家の間でも分かれています。
革靴の専門家の中でも意見が分かれるシューキーパーを使うタイミング問題ですが、毎日、仕事で革靴を履いているサラリーマンの立場から実際どうすればよいのか考察してみました。
少しマニアックな話かもしれませんが、参考にしていただければと思います。
【この記事を書いた人】
革靴歴約30年のサラリーマンが解説します。
- 『靴磨き知識アドバイザー』
- 革靴は仕事道具。「ガッツリ履いて、しっかりお手入れ」がモットーです。
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シューキーパー(シューツリー)の役割
人間は一日靴を履くとコップ1杯分の汗をかくといわれています。
その汗が蒸発する際、革の乾燥から履きジワの部分がだんだん反り返ってきます。
何もせずそのままにしているとどんどん反り返りが大きくなって、ひび割れを起こしたりする場合も。
それに反り返った靴は普通に見た目もカッコ悪いですよね。
シューキーパーは、革靴を購入したときに必ず揃えたいシューケア用品の1つです。
- ちょっと補足
- シダーやブナ、ライムなどの木材を使ったシューキーパーは、「シューツリー」ともいいます。
【あわせて読みたい】
シューキーパーの選び方やおすすめを解説した記事です。
≫【迷ったらコレ!】おすすめのシューキーパー(シューツリー)17選
シューキーパーを入れるタイミング(専門家の意見など)
シューキーパー(シューツリー)を靴に入れるタイミングについて、「靴を脱いだらすぐ入れる派」と「靴の中の湿気を取ってから入れる派」それぞれの考え方や理由をみてみたいと思います。
脱いですぐ入れる派の意見
日高 竜介 氏(日本を代表する靴店「WFG」のマーチャンダイザー)
「ツリー装着は帰宅後の儀式。革がもっとも変形するのは汗が蒸発するときであり、それを防ぐためです。」
日高竜介氏 談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』46頁(世界文化社,2017.6)
くすみ 氏(革靴ジャーナリスト)
要するに、何を優先するのかという話ですね。…(中略)…個人的には帰宅後、すぐにシューツリーを入れて形を保つという方法をおすすめしています。
くすみ氏のブログ「革靴ジャーナル.」(シューキーパーの使い方や入れるタイミングを徹底解説!)
脱いですぐ入れる派の意見をまとめると
- 革が一番変形するのは汗が蒸発するときなので、乾燥が始まる前にすぐ入れるべき
- 湿気に対して神経質になる必要はない
- 後から入れようと思っても忘れてしまうおそれがある
脱いですぐ入れる派は、主に靴の変形を防ぐことを優先しています。
湿気を取ってから入れる派の意見
飯野 高広 氏(服飾ジャーナリスト)
アッパーの形状を保持し、アウトソールの不必要な反り上がりをもとに戻すのがシューキーパーの役割です。…(中略)…帰宅した後は、あえてシューキーパーを入れず靴の中の湿気を自然放出させる。
飯野高広 著『紳士靴を嗜む』164頁 (朝日新聞出版,2010.6)
松室 真一郎 氏(マエストロ代表 ビスポークシューシャイナー)
ツリーは翌朝、ある程度汗が蒸発した段階で入れます。そもそも洗濯物は風に当てて乾かしますよね。木じゃ乾きません。
松室真一郎氏談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』19頁 (世界文社,2017.6)
長谷川 裕也 氏(ブリフトアッシュ代表 靴磨き職人)
靴の型崩れや履きじわを防ぐのにはもちろん、靴磨きの際にも必ず使いたいのがシューツリー。…(中略)…1日履いた靴は、ひと晩乾燥させてからシューツリーを入れて保管する。
長谷川裕也 著『続・靴磨きの本』32頁(亜紀書房,2020.10)
丸谷 誠 氏(ボールワークス代表)
脱いだ靴にすぐ入れるのはやっぱりダメです。そもそもボクはシューキーパーに除湿や脱臭を全く期待していない。
丸谷誠氏談『MEN’SEX特別編 最高級靴読本(究極メンテナンス編)』32頁 (世界文社,2017.6)
湿気を取ってから入れる派の意見をまとめると
- シューキーパーをすぐ入れると湿気を閉じ込めてしまう
- 木では湿気を吸収できない
湿気を取ってから入れる派は、湿気を取り除くことを優先しています。
一般の方の意見
thyme(たいむ)さんがツイッターでアンケートを取ってブログで紹介されていましたので、その結果を引用させていただきます。
1位 帰ってきたらすぐ入れる 49.6%
thyme(たいむ)さんのブログ「革靴は男の顔である」(【革靴】シューツリーはいつ入れるべきか?【おすすめも紹介】)
2位 数時間あけて入れる 33%
3位 1日以上あけて入れる 12.6%
多数派である「すぐ入れる」理由としては、「変なシワがつくのを避けたいから」、「忘れないうちに入れておきたいから」ということでした。
専門家の意見を踏まえて考察(私はすぐ入れる派に一票)
専門家の意見としては(今回紹介した方以外の意見も含め)、「湿気を取ってから入れる」という方が多い印象です。一方で一般の方は「すぐ入れる」方が多いようです。
ここまできて身も蓋もないですが、どちらが正しい、正しくないということはなく、何を優先するかが問題だと思います。
【何を優先するか】
基本的には「脱いだらすぐ入れる」をおすすめします
普段から3足程度をローテーションしているサラリーマンとしては、まずは脱いだらすぐ入れることをおすすめしたいです。
理由としては、
結局、入れるのを忘れるから!
これにつきます……。
履いた靴にシューキーパーを「入れない」ということが一番ダメなので、あとから入れようと思って結局入れ忘れるぐらいなら、「脱いだらすぐ入れる」を習慣化するのが一番です。
ただし、使い分けも必要
基本的には、「脱いだらすぐ入れる」ことをおすすめしますが、それが絶対ではなく「靴の湿気の状況によって使い分ける」ことも必要です。
まず、真夏に1日中動き回ったりすると、コップ1杯では済まないほど汗をかく場合があります。
それにアッパー(甲革)がガラスレザーだったり、ライニング(靴の内側)が布だったりすると汗などが外に抜けにくいため、湿気が残りやすいです。
汗が多く出た場合や湿気を放出しにくい靴の場合、翌日もまだ湿気が残っています↓
私はこのような場合、履き終わりにシューキーパーではなく珪藻土(けいそうど)などの「靴用の湿気吸収剤」を入れ、翌日にシューキーパーを入れるようにしています。
基本的には脱いだら入れるで大丈夫ですが、靴の状況により臨機に対応することも大事です。
珪藻土(けいそうど)などの靴の湿気吸収剤は、カビ防止やニオイ対策にもなるのでオススメですよ↓
おすすめのシューキーパー(シューツリー)
おすすめのシューキーパーを解説します。
迷ったらダブルチューブ式
シューキーパーは、いろいろ種類がありますが、普通の革靴で特にこだわりがなければ、木製の「ダブルチューブ式」でつま先の形状が「サイドスプリット」のものを選んでおけば間違いないです。
ダブルチューブは2本の金属チューブで安定していて、均等にテンションをかけられます。
ローファーにはシングルチューブ式
ローファーのように靴ひもでフィッテイングを調整できない(サイズ感を変えたくない)タイプの靴には、シングルチューブがおすすめです。
シングルチューブタイプは、つま先のパーツがコンパクトなので履き口が広く甲部分の革面積が少ないローファーに最適といえます。
どちらも、木製(シダー製など)だと、湿気を吸収してくれるのでおすすめです。
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>>【迷ったらコレ!】おすすめのシューキーパー(シューツリー)17選|定番からスニーカー用まで
シューキーパーはいつ入れるべき?|まとめ
シューキーパーを入れるタイミングについて、専門家の意見は「湿気を取ってから入れる」という意見の方が多い印象です。
私の考えとしては、シューキーパーの入れ忘れ防止のため、脱いだらすぐ入れることを習慣化しておき、汗の量や靴の素材などの状況によって、臨機応変に対応すればよいと考えます(いわゆる折衷(せっちゅう)案です)。
タイミングはどちらにしろ、履いた靴にはシューキーパーを必ず入れるようにしましょう。
せっかく購入した革靴ですので、効果的にシューキーパーを使って末永く履いていきたいですね。
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