靴の変形を防ぐ役割のシューキーパー。革靴を購入したら必ず持っておきたいシューケア用品です。
木製のものはシューツリーともいいます。
ただ、シューキーパーといってもいろんな種類があって、初心者はどれを購入したらよいのか分からないですよね。
- 種類がたくさんあってよく分からない……。
- 選ぶポイントがあったら知りたい。
- で、結局何がおすすめ?
本記事ではそんな悩みを解決するため、シューキーパーの種類や選ぶポイントなどを解説し、おすすめを紹介します。
シューキーパーの購入を検討しているけど、何を買ったらよいか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
余計な情報はいらないので、おすすめを先に見たいという方はこちらからジャンプできます。
おすすめのシューキーパー
【この記事を書いた人】
革靴歴約30年のサラリーマンが解説します。
- 『靴磨き知識アドバイザー』
- 革靴は仕事道具。「ガッツリ履いて、しっかりお手入れ」がモットーです。
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シューキーパーの種類
シューキーパーの種類を解説します。
構造の種類
シューキーパーの構造は主に以下の5つに分けられます。
- ダブルチューブ式
- シングルチューブ式
- ネジ式
- プラスチック式
- 簡易スプリング式
ダブルチューブ式
つま先とかかとをつなぐ金属チューブが2本のシューキーパーです。
安定感があるので、靴にテンションを均等にかけられます。
テンションをかけて履きジワなどをしっかり伸ばしたい方におすすめです。
シングルチューブ式
つま先とかかとをつなぐ金属チューブが1本のシューキーパーです。
ほどよいテンションで、つま先部分がスリムなものが多いため汎用性が高く、どんな靴にも使うことができます。
特にローファーなど、甲があまり高くない靴におすすめです。
ネジ式
つま先とかかとをつなぐ接続部分がバネではなく、ネジになっているシューキーパーです。
ネジによって微調整が可能なので、靴にちょうどよいテンションがかけられます。
サイズがぴったりで、あまりテンションをかけたくない靴におすすめです。
プラスチック式
プラスチックでできているシューキーパーです。
軽量で、折りたたんで持ち運ぶことができるので、旅行など携帯して持ち歩きたい場面におすすめ。
簡易スプリング式
つま先とかかとがスプリング1本でつながっているシューキーパーです。
スプリングを折り曲げて戻る力でテンションをかけるので、履きジワを中から押し上げるように伸ばします。
靴との接地部分にピンポイントでテンションがかかるので、長時間の使用には向かないです。
つま先の形状の種類
つま先の形状には、主に3つの種類があります。
サイドスプリット | つま先のサイト部分や甲部分にテンションをかけられる。 | |
ハーフラスト | つま先のサイド部分にはテンションをかけられるが、甲部分には難しい。 | |
フルラスト | つま先にバネがついていないので、靴のサイズにあったものを選ぶ必要がある。 |
それぞれ、つま先部分へのテンションのかかりが違います。
木材の種類(木製の場合)
木製のシューキーパーの場合、使われる木材にもそれぞれ特徴があります。
シダー | 香りが高く、殺菌効果が高いとされる。シューキーパー定番の木材 |
ブナ | 硬く耐久性が高い。腐敗しにくい。 |
ライム | 木製のなかではかなり軽い。 |
日本で販売されている定番のシューキーパーは、シダー(レッドシダーなど)が使われていることが多いです。
ただ、正直、そこまでの違いはないので、木材の種類は特に気にする必要はないのかなと思います。
木材の違いについては、海外の有名な靴磨きの専門家であるジャスティン・フィッツパトリック氏のブログが参考になりました。
Hardly anyone uses Cedar shoe trees in Europe….There is no difference between them, beech wood, lime wood, alder wood etc. Some are heavier than others, but that is the only bit being more important for shoe wearers. Absorbing qualities are pretty much the same across the board.
※訳 ヨーロッパでシダーのシューツリーを使う人はほとんどいない。…(中略)…ブナ材、ライム材、ハンノキ材など、違いはありません。重いものもありますが、靴を履く人にとって重要なのはその点だけです。吸収の質はどれもほとんど同じです。
Justin FitzPatrick,「The Shoe Snob Blog」. Things To Know About Shoes Part 5: 41-50 ※訳は「DeepL」で翻訳
シューキーパーを選ぶポイント
シューキーパーを選ぶポイントは以下の4つです。
- 迷ったらサイドスプリットのダブルチューブ式
- ローファーにはシングルチューブ式
- 必要最小限でよいならプラスチック製
- 保管用に簡易スプリング式はNG
くわしく解説します。
迷ったらダブルチューブ式、サイドスプリット
普通の革靴で特にこだわりがなければ、木製の「ダブルチューブ式」でつま先の形状が「サイドスプリット」のものを選んでおけば間違いないです。
ダブルチューブは2本の金属チューブで安定していて、均等にテンションをかけられます。
ローファーにはシングルチューブ式
ローファーのように靴ひもでフィッテイングを調整できない(サイズ感を変えたくない)タイプの靴には、シングルチューブがおすすめです。
特にシングルチューブタイプは、つま先のパーツがコンパクトなので履き口が広く甲部分の革面積が少ないローファーに最適といえます。
ローファーでなくても、サイズ感を変えたくない場合におすすめです。
必要最小限でよいならプラスチック製
必要最小限の機能でよいならプラスチック製でも十分です。
金具の位置を変えることでサイズ調整もできますし、何より安価なので初心者の方におすすめです。
軽量で折りたたんで携帯することもできるので、旅行や出張で重宝しますよ。
保管用に簡易スプリング式はNG
100円均一などで売っている簡易スプリング式は、かかとなどにピンポイントにテンションがかかるため、長期間の使用はおすすめできません。
入れっぱなしにすると逆に型崩れを起こしてしまうことも……。
スプリング部分が持ちやすいので、靴磨きには使いやすいです。
おすすめのシューキーパー
おすすめのシューキーパーを紹介します。
✔定番ブランドのおすすめ
✔安い!3,000円未満のおすすめ
✔シューブランド純正品のおすすめ
✔スニーカー用のおすすめ
定番ブランドのおすすめ
シューキーパーの定番ブランドのおすすめを紹介します。
スレイプニル トラディショナルモデル
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | ダブルチューブ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
スレイプニルは、高級シューケアブランド 「サフィール」の日本代理店ルボウが展開するシューキーパーです。
スレイプニルは靴の種類に応じて様々なシューキーパーを展開しているのでおすすめですよ!
トラディショナルモデルはかかとが大きめの靴に合う作りになっています。
スレイプニル スタンダード
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | シングルチューブ式 |
つま先の形状 | ハーフラスト |
スレイプニルのシングルチューブのシューキーパーです。ちょうどよいテンションでオールラウンドに使用できます。
コロニル アロマティックシダーシュートゥリー
素材 | 木製(アロマティックシーダー) |
構造 | シングルチューブ式 |
つま先の形状 | ハーフラスト |
ドイツの有名なレザーケアブランドの「コロニル」で販売しているシューキーパーです。芳香西洋杉とも呼ばれるアロマティックシーダーが使われていて、天然の芳香と防虫・防臭効果があります。
コルドヌリ・アングレーズ FA85S(バネ式)
素材 | 木製(ブナ) |
構造 | ダブルチューブ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
コルドヌリ・アングレーズは、フランスのシューキーパー専業メーカーです。世界中の高級靴メーカーや一流ブランドの靴にに合うシューキーパーを生産し高い評価を受けています。
FA85Sはダブルチューブ式のシューキーパーで、コルドヌリ・アングレーズのベストセラーモデルです。
YRMS (ネジ式)
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | ネジ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
YRMSは兵庫県の靴のリペア会社が展開するブランドです。ネジ式のシューキーパーなのでローファーなどあまりテンションをかけたくない靴におすすめできます。
YRMSのシューキーパーは、お手頃な価格で、Amazonや楽天などの主要なネットショップで販売されているので購入しやすいですよ。
安い!3,000円未満のおすすめ
もう少しお手頃価格のものがほしいという方へ、3,000円未満で購入できるシューキーパーを紹介します。
無印良品 レッドシダーシューキーパー
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | シングルチューブ式 |
つま先の形状 | ハーフラスト |
無印良品で販売されているシューキーパーです。ハーフラストですが甲高な作りになっています。
YRMS (ダブルチューブ式)
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | ダブルチューブ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
YRMSが展開するダブルチューブ式のシューキーパーです。お手頃価格なのにしっかりとした作りなので、初心者にもおすすめできます。
Matunoki シューキーパー
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | ダブルチューブ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
Matunokiは、Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなど主要なネットショップで販売されています。
靴磨き用ムートンクロスやクリーム塗布用ブラシ、サンドペーパーが付属されてくるのでお得ですよ。
M.モゥブレィ プラスチックシューキーパー
素材 | プラスチック |
構造 | ー |
つま先の形状 | フルラスト |
シューケア用品で有名なM.モゥブレィで販売しているプラスチック製のシューキーパーです。プラスチック製ですが信頼のあるブランドの商品なので品質は心配ありません。
シューブランド純正品のおすすめ
シューブランドの純正品を紹介します。
オールデン
素材 | 木製(シダー) |
構造 | シングルチューブ式 |
つま先の形状 | ハーフラスト |
アメリカの高級革靴オールデンの純正シューキーパーです。オールデンを買ったら純正シューツリー買うべしというのが定番です。
ローファーにこのシューキーパーが入っていたら「おっ!」ってなりますね。
スコッチグレイン(木製ネジ式)
画像出典:スコッチグレインオンラインストア
素材 | 木製(ブナ) |
構造 | ネジ式 |
つま先の形状 | フルラスト |
スコッチグレインオリジナルのシューキーパーです。ヘッド部分をくり抜いているので、靴内部の湿気を取り除きやすい作りになっています。
スコッチグレインの各店舗のほか、公式オンラインストアで購入できます。
スコッチグレイン(プラスチック)
素材 | プラスチック |
構造 | ― |
つま先の形状 | フルラスト |
スコッチグレインおなじみのプラスチック製シューキーパーです。スコッチグレインの靴を購入するとセットでついてきますが、単品を公式オンラインストアで購入することができます。
リーガル
画像出典:リーガルオンラインショップ
素材 | 木製(レッドシダー) |
構造 | シングルチューブ式 |
つま先の形状 | ハーフラスト |
リーガルの純正シューキーパーです。リーガルの靴にしっかりテンションをかけられるような仕様になっています。
レイマー
画像出典:RAYMAR SHOES SHOP
素材 | 木製(ブナ) |
構造 | ダブルチューブ式 |
つま先の形状 | サイドスプリット |
レイマーの純正シューキーパーです。レイマーのメイン木型である「0401番」「5722番」「2022番」「0027番」「2005番」向けて作られています。
※レイマーはYahooショッピングでのみ販売されています。
スニーカー用のおすすめ
スニーカー用におすすめのシューキーパーを紹介します。
ミズノ シューズキーパー
素材 | プラスチック |
構造 | ー |
つま先の形状 | フルラスト |
スポーツメーカーのミズノが販売するスニーカー用のシューキーパーです。スポーツシューズ用に作られているので、しっかり型崩れを防ぎます。
アシックス シューキーパー
素材 | プラスチック |
構造 | ー |
つま先の形状 | フルラスト |
日本のスポーツメーカーのアシックスで展開しているシューキーパーです。スニーカー専用のシューキーパーで、プラスチック製ですがしっかりした作りになっています。
SNEAKY(スニーキー) シューキーパー
素材 | プラスチック |
構造 | 簡易スプリング式 |
つま先の形状 | フルラスト |
SNEAKY(スニーキー)はイギリスのスニーカーケア用品ブランドです。簡易スプリング式で甲部分にしっかりテンションをかけることができます。
SNEAKYはスニーカーコレクターを中心に人気のブランドです。
シューキーパーを入れるタイミング
シューキーパーは「靴を脱いだらすぐ入れる」か、「一旦、湿気を取ってから入れる」べきか、靴の専門家の間でも意見が分かれています。
「シューキーパーを入れるタイミング問題」は、靴磨き界隈で意見が分かれる案件の一つです……。
身も蓋もないですが、どちらが正しい、正しくないということはなく、何を優先するかで決めましょう。
少しマニアックになりますが、以下で考察してみました。
脱いだらすぐ入れる派の意見
- 革が一番変形するのは汗が蒸発するときなので、乾燥が始まる前にすぐ入れるべき
- 湿気に対して神経質になる必要はない
- 後から入れようと思っても忘れてしまうおそれがある
日高 竜介 氏(日本を代表する靴店「WFG」のマーチャンダイザー)、くすみ 氏(革靴ジャーナリスト)など
脱いですぐ入れる派は、主に靴の変形を防ぐことを優先しています。
湿気を取ってから入れる派の意見
- シューキーパーをすぐ入れると湿気を閉じ込めてしまう
- 木では湿気を吸収できない
飯野 高広 氏(服飾ジャーナリスト)、松室 真一郎 氏(マエストロ代表 ビスポークシューシャイナー)、長谷川 裕也 氏(ブリフトアッシュ代表 靴磨き職人) など
湿気を取ってから入れる派は、湿気を取り除くことを優先しています。
サラリーマンは脱いだらすぐ入れるがおすすめ
朝忙しいサラリーマンには、まずは脱いだらすぐ入れることをおすすめしたいです。
理由は、「結局、入れるのを忘れるから」です。
シューキーパーを「入れない」ことが一番ダメなので、あとから入れようと思って結局入れ忘れるぐらいなら、脱いだらすぐ入れることを習慣化するのが一番です。
ただし、靴の状況により臨機に対応することも大事。
どちらかに決めるのではなく、基本的には脱いだらすぐ入れるようにして、状況によって湿気を取ってから入れるとよいと思います。
【あわせて読みたい】
以下の記事でもう少し詳しく考察しています。気になる方はご覧ください。
≫【考察】シューキーパーを入れるタイミング問題…変形防止と湿気除去どっちを優先?
シューキーパーFAQ
シューキーパーの選び方や使用方法に対する気になる疑問にお答えします。
Q.シューキーパーを入れるタイミングはいつがベスト?
- 専門家でも意見が分かれる問題ですが、入れ忘れを防ぐためにも靴を脱いだらすぐ入れましょう。ただし、汗を多くかいた日や雨でぬれてしまった日はしっかり湿気を取ってから入れるなど、靴の状況によって臨機に対応することをおすすめします。
Q.シューキーパーは靴の数だけ必要?
- 揃えられるなら靴の数だけシューキーパーがあった方がよいですが、難しいようなら2~3足に1つあれば十分対応可能です。
例えば、3足をローテーションの場合、以下の①~④を繰り返せば1つで対応できます。
①履き終わりにシューキーパーを入れる
②次の日の夜にシューキーパーを取る
※シューキーパーはその日履いた靴に
③3日目はシューキーパーを入れず乾燥
④4日目の朝、その靴を履いていく
Q.木製の場合、木の種類は何がおすすめ?
- シダーが香りがよく、殺菌効果や防虫、防カビ効果があるとされますが、木材にそこまでの差はないです。木の種類より構造やサイズ感を重視して選びましょう。
Q.シューキーパーはスニーカーにも必要?
- アッパー(靴の表面)の素材がレザーのスニーカーであれば、革靴と同様、型崩れを防ぐためにシューキーパーは必要です。ただ、メッシュやキャンバスなどの化学繊維や布でできたスニーカーはなくても問題ないと考えます。
Q.ダイソーなどの100円均一のシューキーパーでも大丈夫?
- プラスチック製やチューブ式のもので靴とサイズが合うなら問題ないですが、100円均一で販売されているシューキーパーは、ほとんどが簡易スプリング式です。簡易スプリング式はテンションが1点に集中しバランスも悪いため、長期間の使用はおすすめできません。
Q.ニトリのシューキーパーはどう?
- ネットでよく検索されているようですが、2023年8月現在、ニトリでシューキーパーは販売されていませんでした。
まとめ|シューキーパーは革靴を長持ちさせる必須アイテム
本記事では革靴に必須のシューケア用品であるシューキーパーの種類や選ぶポイントなどを解説し、おすすめを紹介しました。
シューキーパーはいろんな種類があって迷ってしまいますが、選ぶポイントを押さえておけば大丈夫です。
シューキーパーを選ぶポイント
- 迷ったらダブルチューブ式のサイドスプリット
- ローファーにはシングルチューブ式
- 必要最小限でよいならプラスチック製
- 保管用に簡易スプリング式はNG
せっかく購入した革靴ですので、履き終わりにシューキーパーを入れて長持ちさせましょう!
【本記事で紹介したシューキーパー】
✔定番ブランドのおすすめ
✔安い!3,000円未満のおすすめ
✔シューブランド純正品のおすすめ
✔スニーカー用のおすすめ
【あわせて読みたい】
除湿や消臭の対策をしたい場合はシューキーパーより、パウダー式の消臭スプレーがおすすめです。