

靴磨きってなんか面倒そうだし、いろんなやり方があってイマイチ正解がわからない……。
この記事では、こんな悩みを解決します。
革靴のお手入れ、いわゆる「靴磨き」ですが、慣れてしまえば10分もかからず行うことができます。
しっかりきれいに磨いた革靴を履くととても気持ちが良いですし、休日の靴磨きは最高の気分転換になります。
サラリーマン生活28年、ずっと仕事で革靴を履いてきた私が、忙しいサラリーマンでも簡単にできる靴磨きの手順と方法をお伝えします。
靴磨きの3つのメリット

仕事で履く革靴をお手入れ(靴磨き)するメリットは、主に以下の3つです。
- 靴が長持ちする
- ビジネスでの信頼性が上がる
- 仕事への意識が変わる
靴が長持ちする
革靴を長く履いていると、油分や水分が抜けていきます。何もお手入れもしないでいると、乾燥して靴がどんどん劣化していきます。
特に履きジワの部分は、屈曲が繰り返されてひび割れ(クラック)しやすいので、適度にクリームを入れて栄養分を補給し、柔軟性も確保します。

靴を長持ちさせることが靴磨きの一番の目的です。
ビジネスでの信頼性が上がる
「女性の約6割、男性の約4割が人の履いている靴を見ている」※というアンケート結果があるように、意外と靴はまわり人に見られてます。

「ホテルマンは靴の状態でお客様を判断する」といいますしね。
靴をお手入れしていなければ、すぐに同僚やビジネスの相手にバレてしまいます。
いくら高級スーツを着ていても、靴がボロボロだったり無頓着に履いていたら、あまり良い印象は持たれないのではないでしょうか。
仕事への意識が変わる
愛着のあるお気に入りの靴を履いているだけで、朝のモチベーションがちょっと違います。前日にお手入れした革靴を履いていくときなんかは、朝から気分がいいです。
自己満足と思うかもしれませんが、ピカピカの靴を履いていると自分に自信が出てきますし、仕事に対する意識も変わってきます。
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【基本】靴磨き7つの手順

それでは、靴磨きをしていきましょう。
靴磨きの手順は以下のとおりです。
※読みたい手順をクリックするとジャンプします⬇

やることが多いように見えますが、慣れると10分程度でできますよ。
靴ひも(シューレース)を取る
靴ひも(シューレース)を取ってお手入れしやすくします。靴ひもを付けたままだと、ブラッシングで毛羽立ってしまったり、クリームを塗るときに邪魔になったりします。

内羽根式の靴は羽が大きく開かないため、靴ひもを通すのが大変です。ムリに開くと革を痛めてしまうので、一番下の部分だけ残しておきます。

ポイント
内羽根式の靴は羽部分が大きく開きづらいので、靴ひもは全部取らず一番下の段は残しておきましょう。
外羽根の靴は、靴ひもの取り外しが簡単なので全部取ります。


靴磨きが終わったら元に戻せるように靴ひもの通し方を覚えておきましょう。
【ちょっと補足】
【ちょっと補足】
シューキーパーを入れる

ブラッシングやクリームを塗りやすくするためにシューキーパーを入れます。
- シューキーパーとは
- シューキーパー(木製のものはシューツリーともいいます)の本来の目的は、靴の変形防止です。

革靴の形状を保つために必須の道具です。普段から靴に入れるクセをつけましょう。
靴の中からテンションをかけて履きジワをまっすぐにします。これで靴磨きがしやすくなりました。

シューキーパーは木製(シダー製など)だと、湿気を吸収してくれるのでオススメです。
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定番はコロニルです。靴磨きで使うだけならプラスチックでも十分です(お手頃ですし)。
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シューキーパーを入れるタイミングは、専門家の間でも「靴を脱いだらすぐ入れる派」と「湿気を除去してから入れる派」が分かれています。どちらがよいか考えてみましたのでよかったらご覧ください⬇
馬毛ブラシでホコリを払う

馬毛ブラシを使って靴に付いたホコリを落とします。
- 馬毛ブラシ
- その名のとおり馬の毛でできたブラシです。弾力性のある毛で靴のホコリを払ってくれます。

革靴にホコリが付いていると靴に悪い(乾燥しやすい)ので、普段から靴をブラッシングしましょう。
多少のすりキズであればブラッシングで消すことができます。


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モウブレイの馬毛ブラシがお手頃でオススメです。弾力もありしっかりホコリを落としてくれます。
クリーナー(リムーバー)で汚れを落とす

クリーナー(リムーバー)で靴についた汚れや古いクリームを落とします。
- クリーナー(リムーバー)
- 靴に付いた汚れや古いクリームを取り除きます。
水性で革に優しいもの、ワックスまでしっかり落とすものなどいろんな種類があります。
長く履いていると汚れやクリームが革に蓄積していますので、クリーナーでスッピンにしてあげましょう。

女性のお化粧落としと同じです。
布を指に巻きクリーナーを染み込ませます。

靴全体を拭いて汚れを落とします。あまりゴシゴシすると革を痛めてしまうので軽く拭き取る感じです。

布が汚れたら拭く面を代えて何回か繰り返します。

古いクリームが取れて、靴がすっぴん状態です。

おすすめのクリーナーはこちら⬇




初心者は、水性で革にやさしいのはモウブレイのステインリムーバーがオススメです。きっちり汚れを落としたい方は、サフィールのレノマットリムーバーが最強です。
乳化性クリームで栄養補給

乳化性クリーム、いわゆる靴墨(くつずみ)とも言われている、革に柔軟性と栄養を与え、適度なツヤを出すことを目的としたクリームです。
- 乳化性クリーム
- 乳化性クリームは水分と油分の混合クリーム(「乳化性」だけに)で、革に栄養を補給する革靴のお手入れには欠かせないクリームです。

乳化性クリームの成分は基本的に水分、油脂、ロウ、有機溶剤です。各メーカーによって配合比率が違い、それぞれ特徴があります。
クリームを浸透させるなら手で塗りましょう

クリームは手で直接塗った方が体温で浸透しやすいのでオススメです。
乳化性クリームを少量(米粒1〜2つ分ぐらい)を指にとって、履きジワを入念に塗り込みます。塗ってみて足りないようなら少しずつ追加してください。




手を汚したくない方はブラシがオススメ
私はいつも手でクリームを塗っていますが、クリームで手が汚れるのが嫌な方は「ペネトレィトブラシ」がオススメです。




乳化性クリームを塗布したら、10〜15分くらい置いてクリームを浸透させましょう。
クリームを塗るためのブラシはこちら⬇

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3つとも栄養補給、光沢感は申し分ありませんが、ツヤツヤにしたいならサフィールのクレム1925、自然な光沢ならM.モゥブレイのシュークリームジャーがおすすめです。
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豚毛ブラシでクリームを馴染ませる

乳化性クリームを塗ったら、豚毛ブラシでブラッシングします。
豚毛ブラシは、乳化性クリームを塗り込んだあとにクリームを靴になじませるための道具です。
- 豚毛ブラシ
- 豚毛ブラシは、馬毛ブラシよりコシが強く固いブラシで、靴にクリームを押し込んで馴染ませます。
クリームを均等に広げて、余分なクリームを取り除く役割もあります。

硬い毛のブラッシングによる摩擦で靴に光沢も出ます。
強めにブラッシングします。


豚毛ブラシは、使えば使うほどクリームがブラシに浸透して、いわゆる「ブラシが育つ」状態になります。

「ブラシが育つ」とクリームを塗らなくても、ブラッシングだけでツヤを出すことができるようになります。
おすすめの豚毛ブラシはこちら⬇




値段の安いブラシは毛が抜けやすいと言われますが、「近藤」の豚毛ブラシはお手頃なのに丈夫で毛が抜けにくいのでオススメです。
余分なクリームを拭き取る

靴磨きの作業ももう少しです。
綿素材の布やストッキングを使って残ったクリームを拭き取ります。乾拭きすることで靴にツヤが出ます。
- 拭き取りにオススメの素材
- ・市販の専用グローブクロス
・カットした使い古しのTシャツなど
・不要になったストッキング
Tシャツは、綿100%のものがクリームを拭き取りやすくてオススメです。

使い古したTシャツは捨てないで、靴磨き用にしましょう!
クリーナーを染み込ませての汚れ落としにも使えます。今回、汚れ落としに使った布もTシャツをカットしたものです。


不要になったストッキングもクリームの拭き取りにはオススメです。化学繊維がクリームの拭き取りやツヤ出しに向いています。


Tシャツやストッキングがない場合は、市販の専用グローブクロスもオススメです。手にはめてササッと拭き取ることができます。


靴クリームを拭き取ったあとの革靴。一連のお手入れでツヤツヤ、しっとりです。


基本的には、ここまでの作業で十分です。ケアもバッチリなので、ここで終わってもOKです。
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【もうひと手間】油性ワックスで鏡面磨き

基本的にはここまでの作業で靴はツヤツヤですし、革のケアも十分です。仕事で使う革靴としては申し分ないです。
でも、せっかくですので革靴通っぽく、つま先を「鏡面磨き」しましょう。
鏡面磨きに必要なもの
- 油性ワックス
- フランネル生地の布
- 100均の霧吹き
- 油性ワックス
- 油分とロウ分が主成分で、靴に光沢を出すことに特化したクリームです。つま先などをピカピカにして靴をドレスアップします。

ワックスを指に取り、靴のつま先と、かかと、サイドにワックスを塗り重ねていきます。毛穴のポツポツが見えなくなるくらい塗り重ねます。


ある程度ワックスの層ができたら手のひらでこすって、ツルッとした感じにすると光りやすくなります。

フランネル生地の布をシワが出ないようにきっちり伸ばして指に巻きます。

一般的には2本の指(人差し指と中指)に生地を巻きますが、私は人差し指1本だけに布を巻いています。1本指の方が力の加減が分かりやすく、上手く光らせることができました。

鏡面磨きが上手くできない方は、1本の指に布を巻いて磨いてみてください。
フランネル生地を水で湿らせます。

私は100円均一で売っている霧吹きを使っています。ちょうどいい感じに湿らせることができるのでオススメです。
生地にワックスを少量付けて、クルクル円を描きながら磨いていきます。

いい感じに光ってきたら、ネル生地を新しい面に変えて、水だけで水研ぎします。

鏡面磨き完成です(仕事で履くのでほどほどに)。


靴磨き終了です。お疲れさまでした。

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すぐピカピカに光らせたいという方は、サフィールノワールのミラーグロスがオススメです。一瞬でピカピカになります
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私は、生地を湿らせるために100円均一の霧吹きを使っていますが、一般的にはこのような「ハンドラップ」を使います。
上からちょん押すと水が適量出るのでオススメです。
靴磨きが上達するオススメの本

せっかく靴磨きをするので、プロの靴磨きを参考にしましょう!
私がオススメする靴磨きやお手入れの方法が書かれた本を紹介します。
靴磨きの本、続・靴磨きの本
靴磨きの手順やコツを知るのにオススメなのが、日本の有名なシューシャイナーの長谷川裕也さんが書いた「靴磨きの本」、「続・靴磨きの本」です。
プロのテクニックも勉強になりますが、初心者にもわかりやすく写真付きで書かれています。

本の綴じ方が独特で、見たいページを開いたまま置くことができるので、本を見ながら靴を磨くことができます。
続編として「続・靴磨きの本」も出ています。

靴磨きの本の続編です。2冊あればベストですが、どちらかをという場合は、「続」の方がおすすめです。
最高級靴読本(究極メンテナンス編)

靴磨きやシューケアのプロの方が、オススメの革靴のお手入れ道具の話をしています。
私はこの本に出てくるような高級靴は持っていませんが、革靴のお手入れ方法などすごく勉強になります。


革靴を磨く手順を解説|まとめ
革靴はサラリーマンの仕事道具です。愛着のあるお気に入りの靴を前日にお手入れして履いていくときは、朝のモチベーションがちょっと違いますよね。
日々の仕事でガシガシ履かれた革靴が、なんかくたびれてきた感じがするなと思ったら、ちゃんと労をねぎらってあげましょう。

靴磨きは慣れてくると最高の気分転換になります。
このご時世サラリーマンは大変ですが、お手入れした本格革靴をバシッと履いてがんばりましょう!
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