
本格的な革靴を履くなら選択肢に入れたいのが、靴底に革を使ったレザーソール。馴染んだときの何ともいえない履き心地が魅力です。

でも、レザーソールってお手入れが面倒じゃないの?滑るって聞くし、ハードル高そう……。
このような心配をして、レザーソールを躊躇している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
レザーソールは確かにラバーソールと違い定期的なお手入れが必要です。ただ、頻度としては半年に1回程度で十分ですし、お手入れ自体はそこまで大変ではありません。
レザーソールには、そんな心配を凌駕する快適な履き心地があります。
この記事では、レザーソールの簡単お手入れ方法と手順を解説し、併せてレザーソールを滑りにくくする裏技も紹介します。
先に滑りにくくするお手入れ方法をお伝えすると、
これを使います↓

野球用のグローブをお手入れするための固形のグラブオイルです。

野球経験者は分かると思いますが、グラブオイルを塗った後のグローブはグリップが効いてボールを捕りやすくなりますし、ボールがなんかベタベタしますよね。
グラブオイルをレザーソールに塗ると、劇的というわけではないものの普通のオイルよりは滑りにくくなりますよ。

【この記事を書いた人】

革靴歴約25年のサラリーマンが解説します。
- 『靴磨き知識アドバイザー』
- 革靴は仕事道具。「ガッツリ履いて、しっかりお手入れ」がモットーです。
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レザーソールもお手入れは必要

レザーソールは靴底ですので、様々な場所を歩くことで汚れが付着します。何日も履いていると汚れや水分などが原因で乾燥が進み、硬化してしまいます。
アッパー(甲革)を定期的にお手入れをするのと同様に、レザーソールも定期的に油分補給などをして乾燥を防ぐことが必要です。

とはいっても、レザーソールは当然アッパー(甲革)よりは丈夫で強い革が使われていて厚みもあるので、そこまで過保護にする必要はありません。
お手入れの頻度としては、3か月〜半年ぐらい履いて革が乾いてきたなと思ったらで大丈夫です。
レザーソールのお手入れ方法と手順

レザーソールのお手入れ方法と手順は以下のとおりです。
- 硬めのブラシでホコリや小石を取り除く
- リムーバーで汚れを落とす
- レザーソール用クリーム(オイル)で栄養補給
- 毛羽立ちを引き締める
詳しく解説します。
ブラシでブラッシング
豚毛ブラシのような硬めのブラシでソールに付いたホコリや小石などを取り除きます。

私は小さい豚毛ブラシをレザーソールの汚れ落とし専用として使っています。


リムーバーで汚れを落とす
いつもの靴磨きで使っている革靴用のクリーナー(リムーバー)です。

布にリムーバーを含ませて汚れを落としていきます。


レザーソール用クリーム(オイル)で保革
レザーソール専用のクリーム(オイル)を塗布します。
今回使うのは、M.モゥブレィのソールモイスチャライザーです。
レザーソールを長持ちさせるための栄養クリームで、栄養補給のほか柔軟性を高めることができます。

ペネトレイトブラシにモイスチャライザーを取ります。
ペネトレイトブラシは普段アッパー(甲革)に使っているのとは別のものを用意しましょう。

ソール全体にしっかり塗布していきます。

栄養補給完了です。


革を引き締める
ここまでで終了でもよいのですが、摩耗して革が毛羽立っている状態を硬いもので擦(こす)って引き締めます。
繊維の密度を高めて丈夫にする感じです。
本来は「レザースティック」という専用の道具を使うのですが、なにせ水牛の角が材料のため高い……。
レザースティック↓

というわけで私はいつもこれを使っています。
さきほどソールモイスチャライザーを塗布するときに使った、ペネトレイトブラシの柄の部分。

この硬さと丸みがちょうどいいのです。
ソール全体を少し強めに擦(こす)りあげます。

ソール全体が引き締まってカッチリした感じです。

これでお手入れ終了です。
またガシガシ履くことができます。
(裏技?)グラブオイルを使うと滑りにくい

レザーソールは滑りやすいところが難点ですが、お手入れをすることで(オイルが入るので)さらに滑りやすくなります。
レザーソールの宿命なのでしょうがないのですが、なるべく滑らない方が歩きやすくて機動性が出ます。
そこで思いついたのが、草野球を引退して放置されていた固形のグラブオイルです。

野球経験者の「あるある」だと思いますが、グラブオイルを塗りたてのグローブでキャッチボールをするとボールがベタベタになります。
このベタベタ感をレザーソールに使えないか試してみたところ、「劇的に改善!」とまではいかないですが、まあまあグリップが効いて歩きやすくなりました。
塗り方は、ソール用オイルの代わりにグラブオイルを塗っていくだけです。

布にグラブオイルを取ってソール全体に塗布していきます。

グラブオイルの成分は靴クリームと同じく「ろう」「油脂」「有機溶剤」です。

グローブのお手入れの際にグラブオイルの代わりにミンクオイルを使うことがありますし、反対にブーツのお手入れにグラブオイルを使う方もいるようです。

なので、レザーソールにグラブオイルを使うのは問題ないと個人的には思っています。
ただ、グラブオイルは油分が多く革を柔らかくしやすいので、アッパー(甲革)には使わないでください!

【あわせて読みたい】
反対に革靴用のケア用品でグローブのお手入れをしてみた記事です。
レザーソールのメリット・デメリット

履き心地が最高のレザーソールですが、デメリットもあります。
レザーソールのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
履き心地のよさ
レザーソールの最大の魅力は、その履き心地のよさです。履き馴染んだソールはクッションが効いて足に吸い付く感じがたまりません。
履けば履くほど自分の足に合ってきて靴への愛着も沸いてきます。
通気性の良さ
レザーソールは通気性の良さも魅力です。汗などの湿気を外に放出するので、長時間の歩行や夏場の暑さでもムレを防いでくれます。
もちろんまったくムレないということはなく、暑い日や長時間歩くときはムレますが、履き込むことで革が馴染むと思えば、多少ムレても「いいぞ〜もっと馴染め〜」と思って全然苦になりません。
革靴を履き込むことはRPGゲームのレベル上げと同じだと思います(ちょっと何言ってるか分からないと言われそうですが……)。
とりあえずカッコいい
レザーソールはスマートでクラッシックな見た目で、カッコいいですよね。足元に品格が出ます。
歩くとコツコツ音がするのもラバーソールにはない魅力です。
デメット
滑りやすい
レザーソールの最大の欠点は滑りやすさです。特に濡れたあとの大理石などの摩擦のない床では、めちゃめちゃ滑ります。
乾いた道路でも滑りやすいので、滑ることを前提とした歩き方が必要です。
雨の日は履けない
レザーなので雨などで道路が濡れていると、水が靴の中に染みてくるので、雨の日は履くことができません。
濡れてしまったときは、しっかり乾かさないとカビが生えてしまうので注意が必要です。
雨とは関係ないですが、トイレに行ったときに床が気になります。不衛生なトイレには入れないのもレザーソールの「あるある」ではないでしょうか。
お手入れに手間がかかる
レザーという特性上、定期的にお手入れをしないと汚れや水分などが原因で乾燥が進み、劣化してしまいます。
お手入れが必要ないラバーソールと比べると、管理に手間がかかるところがデメリットです。
レザーソールのよくある質問(FAQ)

レザーソールについての気になる疑問にお答えします。
レザーソールのお手入れ頻度は?
- 専門家などの意見では3か月〜半年に1度のタイミングでお手入れすることが推奨されています。アッパーと違ってそこまで頻繁にする必要はないので、履いていてソールが乾いてきたなと思ったら、いつもの靴磨きのタイミングで一緒にお手入れしましょう。
レザーソールが濡れてしまったときの対処方法は?
- ソールが地面に着かないように靴を立てかけて、風通しの良い場所(屋外)で陰干します。しっかり乾いたら通常のお手入れと同様にレザーソール用のクリームやオイルでお手入れして栄養(油分)補給をしましょう。

レザーソールにカビが生えてしまったら?
- リムーバーで全体を拭いて、その後さらにカビ専用のクリーナーでしっかりカビを拭き取ったら、風通しの良い場所でできれば1週間ほど日干します。
カビがヒドい場合は、自分で丸洗いするかプロ(靴のクリーニング業者)へ頼みましょう。
【あわせて読みたい】
靴のカビについては、下記の記事を参考にしてみてください。
>>革靴を宅配クリーニングに頼むならどこがオススメか調査してみた
レザーソールの交換の目安は?
- ソールに穴があいて中物が見えてきた場合、穴があいていなくても手で押してソールが薄くなっているような場合が交換の目安です。ソールが削れてウェルト部分に影響しそうなときも修理が必要となります。
まとめ|レザーソールをお手入れして快適な履き心地を手に入れよう
この記事では、レザーソールの簡単お手入れ方法と手順を解説し、併せてレザーソールを滑りにくくする裏技を紹介しました。

裏技と言えるか微妙ですが……。
レザーソールは定期的なお手入れが必要ですが、頻度としては半年に1回程度で十分ですし、お手入れ自体はそこまで大変ではありません。
デメリットである滑りやすさもグラブオイルを使うことで少しはマシになります。
革靴初心者には少しハードルが高いレザーソールですが、しっかりお手入れをして、ぜひ履き心地の良さを味わってみてください。
【あわせて読みたい】
レザーソールではないですが、革靴のオールソール交換をしたときの記事です。