革靴用靴クリームの中ではダントツの光沢感と抜群の浸透力を誇るサフィールノワールの「クレム1925」。靴磨きのプロも認める高級クリームです。
でも実際、クレム1925ってどうなの?もう少し詳しく知りたいな……。
この記事ではそんな悩みを解決するため、クレム1925の使い方や質感などをレビューし、実際に使ってみて感じたメリットやデメリットを解説します。
革靴好き界隈では知らない人はいない定番高級クリームが気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
✔クレム1925のメリット・デメリット
【この記事を書いた人】
革靴歴約30年のサラリーマンが解説します。
- 『靴磨き知識アドバイザー』
- 革靴は仕事道具。「ガッツリ履いて、しっかりお手入れ」がモットーです。
- 詳しいプロフィールはこちら。
- ※当サイトの情報は執筆時点のものです。
※当サイトには広告が含まれる場合があります。
サフィールノワール クレム1925の基本情報
サフィールノワール クレム1925の基本情報をお伝えします。
サフィールノワールとは?
サフィール(SAPHIR)は、フランスのレザー製品やレザーケア用品を製造・販売しているAvel(アベル)社が展開するシューケアブランドです。
伝統的な製造工程と厳選した天然原料から製品を製造し提供するクオリティーブランドとして世界5大陸の65カ国以上で広く愛用されています。
そのサフィールの中でも最高品質を誇るハイグレードラインが「サフィールノワール」。そのサフィールノワールが展開するのがクレム1925です。
1925年のパリ万国博覧会で金賞を受賞した際のレシピを受け継いでいるクリームということで、商品名に1925が冠されています。
クレム1925の成分
クレム1925は、水を一切使用しない油性クリームです。他ブランドの乳化性クリームと比べて撥水性が高く栄養効果や補色効果が長持ちするのが特長です。
【クレム1925の成分】
- ロウ(ビーズワックス、カルナバワックス等)
- 油脂(シアバター等)
- 有機溶剤(テンピン油)
ロウ分
保湿力が高く、抗酸化作用もあると言われる「ビーズワックス」、光沢、撥水、紫外線による色あせから保護する「カルナバワックス」を配合
画像出典:Amazon
油脂
ハンドクリームやリップクリームにも使用される「シアバター」を配合
画像出典:Amazon
有機溶剤
汚れを落とし、油分の浸透を促す「テンピン油」を配合
画像出典:Amazon
クレム1925の特徴
保湿性と浸透性が高いシアバターが革の深層まで保湿します。油性ワックスに近い配合のため、靴をピカピカに光らせることができます。
クレム1925は全て天然成分で構成されています。
【ちょっと補足】
- 乳化性クリームと油性クリームの違い
- 乳化性クリームが、油分と水分の混合(「乳化性」なので)なのに対し、油性クリームには水分が配合されていません。
通常、クリームは水分があることで成分を革に浸透させることができるので、普通の油性クリームは革の栄養補給には向きません。
ただし、クレム1925は、「シアバター」や「テンピン油」が配合されているため、油性なのに革に浸透し、栄養や革にしなやかさを与えることができます。
クレム1925のカラー展開
クレム1925のカラーは全部で16種類です。補色力が高いので、なるべく靴と同色のものを使うのをおすすめします。
私は、ミディアムブラウンの靴を濃くしたくて、ブラックやダークブラウンを使ったりしますが……。
✔クレム1925のカラー
画像出典:楽天市場SAPHIR公式ショップ
クレム1925をレビュー
クレム1925の使い方や使用感などを正直にレビューします。
クレム1925の使い方(靴磨き方法)
油性のクレム1925ですが、靴磨き方法は普通の乳化性クリームと同じです。
事前準備
- 靴のシューレース(靴紐)を取る。
- 馬毛ブラシでホコリを払う(馬毛ブラシがなければ、固く絞った濡れた布で軽く拭きます)。
- リムーバー(シュークリーナー)で汚れを落とす(リムーバーがなければ省略してもOK)。
クレム1925を靴に塗る
乳化性クリームと同様に、クリームを米粒1〜2つ分ぐらい指(又はブラシ)に取って履きジワを中心に入念に塗り込みます。
クレム1925を塗ったら
全体にクリームを塗り込んだら、豚毛ブラシでブラッシングしてクリームを靴になじませます。
水分がない油性クリームは、靴に塗るまでは滑らかですが、塗ったあとは滑りがなくなる感じなので、豚毛ブラシでしっかりブラッシングして馴染ませたほうが良いです。
豚毛ブラシでしっかりブラッシングすると、このあとの乾拭きもしやすくなりますよ。
豚毛ブラシでブラッシングしたら、いらないストッキングや布切れで乾拭きして余分なクリームを拭き取ります。
クレム1925を使った靴磨きには、豚毛ブラシは必須です。
靴磨き完了
上の画像だと光沢感がイマイチ分からないかなと思いましたので、別の日にクレム1925で磨いた靴も載せておきます。
ワックスを全体に塗ったんじゃないかと思うような光り方です。
靴磨き以外にも使える
クレム1925の「無色」は、靴磨きだけでなくワックスクリーナーとしても使えます。
クレム1925の無色を布にとって鏡面磨きをしているつま先へ塗ります。
クレム1925は油性クリームなので、同じ油性のワックスを拭き取ることができます。
クレム1925の無色があれば、ワックスを落とすクリーナーは不要です。高級クリームなのでちょっともったいないですけど……。
【あわせて読みたい】
クレム1925の質感を例えるなら
クレム1925をパンに塗るモノで例えると、
✔高級バター、高いマーガリン
画像出典:Amazon
※画像はクレム1925とは何の関係もありません。
完全に私の主観ですが、靴に塗ったときの伸びや浸透力が高級バターや高いマーガリンというイメージです。
なんでパンに塗るモノで例えた?
クリームの質感をお伝えしたくてパンに塗るモノで例えてみましたが、逆に分かりづらいですかね……。
ちなみに、懲りずに他の定番靴クリームも質感を例えてみました。
メーカー・商品名 | 例えるなら | 理由 |
---|---|---|
コロンブス・ブートブラックシュークリーム | 高級チョコレートクリーム | 革の上にしっかりのって深みのある色を出す感じが |
サフィール・ビーズワックスファインクリーム | ピーナッツクリーム | 油分が少し多くヌルっとする感じが |
M.モゥブレィ・シュークリームジャー | シュガーバター | シルキーで浸透する感じが |
う〜ん……すみません……。あまり気にしないでください。
クレム1925のメリット
クレム1925のメリットは以下の5つです。
- 滑らかな質感で塗りやすい
- 磨いたあとの光沢感はダントツ
- 高い浸透力
- 防水スプレーが必要ない
- 黒の四角い瓶がカッコいい
詳しく解説します。
滑らかな質感で塗りやすい
ハンドクリームやリップクリームにも使われる「シアバター」が配合されているので、滑らかで初心者でも塗りやすいです。
磨いたあとの光沢感はダントツ
高級カーワックスのつや出し成分にも使われる「カルナバワックス」が配合されているため、磨いたあとの光沢はダントツです。
高い浸透力
ミツロウやシアバターなどの天然保湿成分が革の奥まで浸透します。
通常は「油分」は革に浸透しないため、「水分」と混ぜ合わせて「乳化」させることで浸透させますが、シアバターを配合することで、「油性なのに浸透する」ということを実現しています。
クリームが浸透しづらい(しない)といわれるガラスレザーの靴にも、クレム1925を指で塗るとしっかり浸透しているように感じます。
防水スプレーが必要ない
油性クリームが革に浸透して水を弾くので、クレム1925でお手入れをすれば防水スプレーは必要ありません。
ちょっとした防水スプレーよりも効果があるのではないでしょうか。
四角い瓶がカッコいい
普通に四角い瓶がカッコいいです。そのまま玄関に置いても映えます。
↑オシャレでカッコいいですよね!
この瓶だけは玄関に置きっぱなしでも、妻に文句を言われません(他の道具は箱にいれて見えないようにする必要がありますが……)。
クレム1925のデメリット
クレム1925を使ってみた感じたデメリットも紹介します。
- 高級クリームで価格は高め
- しっとり自然に光らせたい場合には不向き
- 匂いが特徴的
高級クリームで価格は高め
2022年7月現在で2,420円と他の靴クリームより価格が高めです。
【主な靴クリームの値段】
メーカー・商品名 | 1ml当たりの価格 (ml/円) | 標準価格 (税込み) |
---|---|---|
M.モゥブレィ・ シュークリームジャー | 19.8円 | 990円 |
コロンブス・ シルバーラインシュークリーム | 16円 | 880円 |
コロンブス・ ブートブラックシュークリーム | 20円 | 1,100円 |
サフィール・ ビーズワックスファインクリーム | 22円 | 1,100円 |
サフィールノワール・ クレム1925 | 32円 | 2,420円 |
最高品質の原料を使っているので、しょうがないです。
しっとり自然に光らせたい場合には不向き
これはメリットとの表裏一体ですが、ワックスを全体に塗ったかのような光沢感なので、しっとり自然なツヤがお好みの方は不向きです。
これがデメリットかどうかは、靴クリームに何を求めるかによりますね。
匂いが特徴的
おしゃれな香水のようなニオイです。このニオイが特徴的なので好き嫌いが別れます。
Amazonなどのレビューでも、ニオイがキツイことで低い評価になっていることが結構ありました。
私も最初は少しニオイがキツイなと思いましたが、慣れると、むしろこのニオイがたまらなくなりました。
クレム1925のよくある質問
クレム1925を使ってみた感じや公式ショップに記載されている情報をもとに回答します。
Q.油性クリームと乳化性クリームの違いは?
- 油性クリームの成分は、油分、ロウ分、有機溶剤で、水分が含まれていません。
乳化性クリームは、上記に加えて水分が含まれています。水分があることでクリームを革に浸透させることができるので、油性クリームは革に栄養分などを補給することはできません。
ただし、クレム1925の場合は「シアバター」「テンピン油」が革に浸透するため、油性なのに革に栄養やしなやかさを与えることができます。
Q.水分が含まれない油性クリームで保革は十分にできる?デリケートクリームと併用した方がいい?
- 保革に重要なのは「油分」です。 なのでクレム1925のみのケアで問題ありません。
クレム1925は、シアバター等の効果によって油分を革の中へ浸透させています。 浸透後、水分に比べ乾燥しにくい油性クリームは保革の効果をより長く持続することが可能です。
参考:楽天市場SAPHIR公式ショップ
私も当初は、水分が含まれていないのでデリケートクリームを併用した方がよいかなと思っていましたが、必要ないようです。
Q.どんな革にも使えるの?
- クレム1925は、「革靴専用」です。革靴以外の「スムースレザー」「スエード(起毛した革)」「エナメル」「爬虫類革」には使用できません。
Q.クレム1925とビーズワックスファインクリームの違いは?
同じサフィールブランドのクリームですが、その違いは以下のとおりです。
ファインクリーム
【あわせて読みたい】
クレム1925の口コミ
画像出典:ルボウ(公式)HP
クレム1925の良い口コミと悪い(イマイチな)口コミを紹介します。
良い口コミ
- 伸びもよく、光沢は圧倒的です。
- ナンバーワンの商品だと思います。
- ツヤ感がすごく良い。さすがプロ仕様だと思いました。
- シアバターが使われているし、革靴クリームには最高です。
- 他のクリームも使ってみたが、これには勝てないと思う。
評価の良い口コミでは、やはり光沢のすごさと塗りやすさについての声が多かったです。
悪い(イマイチな)口コミ
- 独特の匂いで気持ち悪くなった。
- ツヤ感は好みが分かれると思う。脂ぎった強いツヤが好みの方には良いのでは。
- ワックスのようなツヤが出る。しっとりとしたツヤが好きな方には合わないと思う。
- 塗布後のベタつきが気になる。
良くない口コミは、独特な匂いと油性特有のベタつきについての声が多かったです。特に匂いについては好き嫌いが別れますね……。
サフィールノワール クレム1925をレビュー|まとめ
革靴用のクリームの中では定番中の定番ともいえる、サフィールノワール クレム1925をレビューしました。
クレム1925は、革靴用靴クリームの中ではダントツの光沢感と抜群の浸透力で、多くの靴磨きのプロも認めるクリームです。
革靴のお手入れにはクレム1925を持っておけば大丈夫と言い切っていいぐらいですので、ぜひお試しください。
【あわせて読みたい】
>>定番の乳化性クリームを徹底比較…革靴歴約25年のサラリーマンが実際に磨いてみたリアルな感想
>>M.モゥブレィ シュークリームジャーをレビュー【自然なツヤ感!】
>>ブートブラック シュークリームをレビュー【黒が映える!】