最近はミニマリスト的な考え方から、革靴は安い靴を1足買って履き潰しながら仕事をしている方も多いようです。
ただ、革靴はサラリーマンの仕事道具です。プロスポーツ選手も自分にあった道具をちゃんとお手入れして使っています。サラリーマンだって同じではないでしょうか。
せっかく購入した革靴なので、しっかりお手入れをして、末永く履いていきたいですよね。
- せっかく買った革靴なのでちゃんとメンテして長く履きたい
- 靴磨きに興味が出てきたので、靴磨きの方法を知りたい
- 靴の臭いやカビが気になるけど、対処方法は?
この記事では、こんな悩みを解決します。
私は、サラリーマン生活約25年ずっと仕事で革靴を履いてきました。様々な革靴を履いてお手入れしてきた経験から、なるべく面倒がなく、革靴と長く付き合っていけるお手入れ方法を体系的にお伝えしたいと思います。
【この記事を書いた人】
革靴歴約30年のサラリーマンが解説します。
- 『靴磨き知識アドバイザー』
- 革靴は仕事道具。「ガッツリ履いて、しっかりお手入れ」がモットーです。
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革靴と長く付き合うための習慣
革靴と長く付き合っていくには、お手入れや靴磨きの前に、革靴の履き方や取り扱い方が重要です。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
【革靴と長く付き合うための習慣】
- 靴べらを使って履く
- 靴ひもはその都度結ぶ
- お気に入りでも毎日履かない
靴べらを使って履く
靴べらを使わないで革靴を履くのは厳禁です!靴べらを使わずに靴を履くとかかと部分を踏みつけることになり、かかとの芯(カウンターともいいます)が変形してしまいます。
かかとの芯が変形すると足がブレて履き心地が悪くなるだけでなく、他のパーツの負担が増えて革靴の寿命を縮めてしまいます。
靴べらを使う目的は、靴を履きやすくするだけではなく、靴を壊さないためでもあります。
かかとを踏んで、スリッパみたいにして履く人をたまに見かけますが、靴を大事にする以前の問題です……。
面倒だとは思いますが必ず靴べらを使って履くようにしましょう。
靴べらは自分の家の玄関に置いておくのはもちろんですが、仕事中靴を脱いだり履いたりすることがある方は、携帯用の靴べらを持っておきましょう。
おすすめの携帯用靴べらはこちら
【キーホルダータイプ】
【スライド式タイプ】
靴ひもはその都度結ぶ(理想)
革靴を脱ぐときは靴ひもをほどいて、履くときはしっかり結び直すのが理想です。靴ひもを結んだまま無理やり靴を脱ぎ履きすると、靴の履き口に負担がかかり革を痛めてしまいます。
靴ひもをほどいて脱ぎ、履くときはその都度しっかり結び直す。
サラリーマン
でも、取引先や上司の前でそんなことしてられないよ…
サラリーマンをやっていると、取引先や上司の前で、急いで脱ぎ履きしなければならないことがあると思います。その都度、靴ひもをほどいたり、結び直したりできないのが現実です。
- 靴ひもがないタイプのモンクストラップやレイジーマンの革靴を履く※1
- 比較的かかとがゆるく作られているリーガルやスコッチグレインのような日本の紳士靴ブランドを履く※2
【ちょっと補足】
- モンクストラップ、レイジーマンとは?※1
- モンクストラップは、履き口を靴ひもではなくバックルでとめるタイプのデザインです。
- レイジーマンは、靴ひもに見えるのは装飾で、履き口はゴムなどで押さえるタイプのデザインです。
画像出典:RAYMAR Official Blog
- 一般的な日本ブランドのかかとの作り※2
日本の紳士靴ブランドはかかとが比較的ゆるく作られています。それがデメリットと言われたりしますが、靴を頻繁に脱ぎ履きする日本人にとってはメリットでもあります。
いずれにしても、革靴を履く際は靴ひもをきっちり結びましょう。
お気に入りでも連投は厳禁
いくら愛着のある靴でも、毎日履くのは厳禁です!
人は、1日靴を履くと約コップ1杯分の汗をかくと言われています。靴を1日履いたら2日、最低でも1日は靴を乾燥させるために休ませましょう。
革靴は最低でも3足、雨用を含めた4足を持つ
一日履いたら2日休める、雨が降ったら雨用の革靴を履く。革靴を長持ちさせるための鉄則です。
サラリーマン
でも、いきなりそんなに革靴に予算を割けないよ・・・。
確かに、革靴初心者の方が、いきなり、ちゃんとした革靴を3足揃えるのは厳しいかもしれません。
2足を1日おきにローテーションする(予算とタイミングをみて追加していく)
最初は3足揃えるのは難しい方は、2足揃えてローテーションしましょう。
とにかく、同じ靴を毎日履くのだけはやめましょう。せっかく買った本格革靴があっというまにボロボロ、くさくさになってしまいます。
履いてみて足が痛い場合
革靴といえば、固くて靴ずれになるイメージがありませんか?
革靴を購入したら、履き始める前にデリケートクリームを塗りましょう。それだけで、靴ずれを防止できます。
デリケートクリームは、革靴に潤いを与えるための水分量が多いクリームです。履く前に靴の内側へ塗り込むことで、内側の革を柔らかくし、靴ずれなどを防ぐことができます。
靴の内側に塗布します。
靴擦れしやすいかかとへもしっかり塗りましょう
靴の中の革にデリケートクリームを塗り込むと、劇的に履き心地が変わります。
靴のお手入れ道具は様々ありますが、とりあえずデリケートクリームを革靴と一緒に購入することをオススメします!
手を汚したくない場合はスプレータイプのデリケートクリームもおすすめです。
おすすめのデリケートクリーム
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日頃のお手入れ方法とケア用品
革靴は日頃のお手入れが大事です。お手入れの方法とケア用品を紹介します。
最低限持っておきたいケア用品
革靴のお手入れは、いろんな道具を揃える必要があってなんか面倒そう……。と思われがちですが、初心者の方は何も考えず以下の3+αを揃えましょう。
- シューキーパー
- 馬毛ブラシ
- 乳化性クリーム
安いもので全く問題ないので、最初に揃えておくだけで、あとから靴が増えたとしても、これがあれば十分事足ります。
靴に愛着が出てくるといろいろ試したくなりますが、慣れないうちはこれだけで十分です。
毎日(靴の履き終わり)のお手入れ
毎日の履き終わりに必ず行いたいことは、以下の2つです。
- シューキーパーを入れる
- 馬毛ブラシでブラッシング
シューキーパーを入れる
汗が乾いていく過程で履きジワから反り返ってくるので、シューキーパーを入れることで靴の変形を防ぎます。
木製のシューキーパー(シューツリーともいいます)を使うと汗も吸い取ってくれます。面倒でも1日履き終わって靴を脱いだら、必ず靴に入れましょう。
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シューキーパーの選び方やおすすめを解説した記事です。
≫【迷ったらコレ!】おすすめのシューキーパー(シューツリー)17選
シューキーパーを入れるタイミングの問題を少し考察してみました。
馬毛ブラシでブラッシング
靴にホコリが付いたままだと、ホコリが靴の油分を吸い取ってしまいます。
革靴は油分と水分が大事ですのでバランスが崩れてしまうとすぐにダメになりますので、1日履いたらササッとホコリを落としましょう。
多少のスリキズであれば馬毛ブラシで消すことができますし、ブラッシング効果で光沢もある程度は復活します。
ポイント
シューキーパーを入れること、馬毛ブラシでブラッシングすること、1分もかかりませんので、履き終わったら毎回必ずしましょう!
「え〜毎日お手入れするの?」と思うかもしれませんが、「1回のお手入れは100円ずつの貯金」と同じです。
お手入れすることで、革靴が長持ちするので、長い目で見るとお得です。
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定期的なお手入れ(1〜2か月ごと又は10回ぐらい履いたら)
理想のお手入れ
- クリーナーで汚れ落とし
- 靴クリームで栄養補給とツヤ出し
- 豚毛ブラシを使ってクリームを馴染ませる
- 布切れ又はストッキングで乾拭き
- ワックスでつま先を鏡面磨き
こんなにやることあるのか…無理かも
一見、やること多そうに見えますが、慣れると全く問題ないです。むしろハマってくると、もっといろいろやりたくなります。
ただ、やっぱり最初は、道具も揃えなければならないし難しいですよね。
現実を踏まえて
- 靴クリームで栄養補給とツヤ出し
- いらない布かストッキングで乾拭き
革靴初心者はこれだけでOKです。
現実を踏まえた簡単靴磨き
靴クリームは、乳化性クリームともいわれ、革の栄養補給とツヤ出しが目的です。
米粒1〜2つ分ぐらいの量を指にとって、履きジワを入念に塗り込みます。
その後、靴全体にも塗り込みます。
全体にクリームが浸透したら、いらないストッキングや布を使って余分なクリームを拭き取ります。
いい感じに光沢が出ます。ツヤツヤですね!
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靴磨きの手順や方法を解説した記事です。
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>>おすすめの乳化性クリーム5選…塗りやすさや光沢感を徹底解説
ガラスレザーにおすすめのケア用品の解説記事です。
革靴のニオイ対策
サラリーマンに限らず、革靴を履いていてよくある悩みが靴が臭うことではないでしょうか。靴のニオイを防ぐために、靴の外側のお手入れだけでなく、靴の内側のお手入れしていきましょう。
靴の臭いの原因
人は1日靴を履くと約コップ1杯分の汗をかくと言われています。汗自体は直接的な臭いの原因ではないのですが、汗と一緒に付いた足の角質や皮脂などをバクテリアが分解して出た成分(酸)が臭いの原因です。
そもそも足がクサくて、その臭いが靴に付着することもありますが……。
臭いを予防する方法
- 同じ靴を2日連続で履かない
- 裸足で履かない
- 通気性や吸水性のある靴を履く
- 足を清潔に保つ
同じ靴を2日連続で履かない
何回も言いますが、同じ靴は2日連続で履かないようにしましょう。汗が乾く前にまた汗が付着することになるので、臭いの原因の角質や皮脂がどんどん付着して大変なことになります。
1日はいたら2日休ませることを徹底すれば、基本的に靴が臭うことはありません。これだけで十分靴の臭い対策になります。
裸足で履かない
臭いの原因は汗と一緒に付いた足の角質や皮脂などをバクテリアが分解して出た成分(酸)と言いましたが、裸足で履いてしまうと「臭いの原因」が革靴に直接付着するので、あっという間に臭くなります。
昔、トレンディ俳優が裸足で革靴を履くということがありましたが、靴を長持ちさせたいならマネしたらダメです。
仕事用の革靴なので裸足で履くことはないかもしれませんが、革靴を裸足で履くのは厳禁です!
通気性や吸水性のある靴を履く
靴の中がムレにくい素材の靴を履くことも解決方法になります。
靴のライニング(靴の内側の素材)はレザーがおすすめです。レザーライニングは革が汗を吸って湿気を外に出してくれるので、劇的にムレを解消してくれます。
私が本格革靴を履くようになって一番感動したのが、レザーライニングの「ムレない」というところです。大げさではなく本当にムレが軽減されます。
足を清潔に保つ
日頃からちゃんと足を洗うのは当然として、足を洗う際は昔ながらの固形の石鹸を使うと効果的です。固形石鹸は、汚れ落としだけでなく殺菌・消毒効果が期待できるので、ニオイ対策におすすめです。
軽石で足の余分な角質を除去することや、ウールや綿を材料とした靴下を履くことも効果があります。
靴が臭ってしまったら
私の経験上、3〜4足でローテーションしていたら、靴が臭うことはほぼないのですが、どうしてもその時の状態などで臭ってしまうこともあると思います。
そんなときは、以下の3つの方法を順番に行い対処しましょう。
- 消毒用アルコールで靴の中を除菌
- 消臭用スプレーでニオイの原因を除去
- サドルソープで丸洗い
ただ、1回臭ってしまうと、ニオイを除去するのはなかなか厳しくなるので、やはり日頃からのお手入れなどで予防することが重要です。
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革靴のカビ対策(予防と除去)
雨の日に履いて濡れてしまったり、湿気の多い場所に長い間置きっぱなしにしたりすると、靴にカビが生えてしまうことがあります。
カビの予防方法
【カビの原因】
- 温度が20〜30℃あたり
- 湿度が80%ぐらい
- 靴についた皮脂や汚れがある
この条件が揃うと、カビが生える確率が高くなりますので、湿度を下げるために定期的に下駄箱(シューズボックス)の扉を開けて換気しましょう。
靴の中の湿気を十分に取ってからしまうことも大事です。
私は、雨で靴底などが濡れている場合は、スノコの上に置くなどして靴底が乾くまでシューズボックスに入れないようにしています。
カビの除去方法
カビが生えてしまったときに、カビを取ろうとして濡れた布などで水拭きするのはさらに湿度を上げてしまうことになるので厳禁です。
予防の甲斐なくカビを生やしてしまったときは、次の順番で除去しましょう。
- 靴用クリーナー(リムーバー)で表面のカビを除去
- カビ専用スプレーで原因菌を除菌
- 風通しの良いところで天日干し
- 革の保湿と栄養補給
カビがどのくらい付着してしまったかで、除去の難易度は変わってきますが、カビが生えてしまうと完全復活まではかなり時間がかかります。なので、なるべくカビを生やさないこと(予防)が大事です。
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同じ革製品の野球グローブにカビが生えた場合もシューケア用品で除去できます。
カビの除去が難しい場合
カビの色が黒や赤色の場合は重症です。
特に黒色が混じっているカビは、根(芯)が革の中に侵食しているので、表面的に除去できてもまたすぐに生えてきます。
こうなると除去に手間がかかってしまうだけでなく、革の状態を悪化させてしまうおそれがあるので、素直に靴のクリーニング専門店などプロに依頼した方が安心です。
自分の手に負えない汚れやカビは靴専門のクリーニング店にお願いしましょう。今では、数千円でネットで完結する業者も多くあります。
例えば、靴クリーニング専門店の「Kutoon Wash」では、1足4千円ちょっと(送料込み)で、靴の丸洗いを頼むことができます。
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まとめ|革靴を末永く履いていくには習慣とメンテが大事
革靴を長く付き合っていくポイントは、以下のとおりです。
- 革靴と長く付き合うための習慣を身につける
- 痛かったらデリケートクリームを入れる
- 日頃のお手入れをしっかりする
- ニオイ対策、カビ対策をしっかりする
最近は特に革靴を履く機会が減少し、あまり重要視されなくなってきていますが、まだまだサラリーマンにとって革靴は重要なアイテムですし、仕事の道具です。
せっかく購入した革靴なので、しっかりお手入れして末永く履いていきましょう。
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